前回に引き続き、今回はNIKEのアプリ『SNKRS』について紹介します。
SNKRSはオンラインでスニーカーを購入することができる場所だけでなく、
最新商品の情報や抽選が行われており、NIKEのファンにとって
欠かせないアプリとなっています。
そのSNKRSはどのような人に使われて成り立っているのか。
そこにデジタル上でのNIKEの強さが隠れています。
結論
初めに結論としてSNKRSが及ぼした好影響を紹介します。
- パーソナライズされた購買体験
- 限定アクセス権による熱狂的なファンの形成
- 更なる購買行動を後押し
以上の3点においてSNKRSはNIKEのファンに影響を与えています。
以下で細かく紹介します。
デジタル部門での成果指標
まずNIKEのデジタル部門での成長を牽引しているのは会員購入の拡大です。
昨年から会員による購入が14%も増加しており、NIKEと会員との繋がりが強いことが読み取れます。
NIKEのデジタルビジネスでは会員との繋がりを
いかに強く感じられるかということを成功の指標としています。
そして当四半期のリピート購入会員数は70%以上増加しており、
データや分析を利用してパーソナライズされた購買体験によって
この繋がりを感じることができており成果をあげているといえます。
メンバー会員であることの価値
データを活用したデジタルでの購買体験だけでなく、
もっとエモーショナルな一面でNIKEは価値を生み出しています。
つまりNIKEのメンバーであることに意味を与え、そこに価値を生み出しているのです。
その一つとして『SNKRS Exclusive Access』という限定アクセスがあります。
これは本当のNIKEファンに優先的に購入権を与えるというものです。
通知で送られるアクセス権から、一定の時間以内に限定商品を購入することができるのです。
そしてそのアクセス権はこれまでのアプリ上のリアクションや行動などのデータから
メンバーのターゲティングが行われ、選ばれる仕組みとなっています。
これは本当にNIKEの商品を愛してくれる人を見分けるのに役立ち、
転売屋ではない熱狂的なメンバーに商品を届けることを目標としています。
Breaking Down SNKRS Exclusive Access:https://news.nike.com/news/snkrs-exclusive-access-off-white-dunk
【NIKE公式】INSIDE SNKRS 限定アクセス:https://www.nike.com/jp/launch/t/inside-snkrs-exclusive-access
例として以前にあった「Off-White Dunk」で送信された限定アクセス権の90%は、
過去2年にOff-Whiteとのコラボ商品を購入できなかったメンバーに送られていたようです。
その結果、「Off-White Dunk」は最も価値のあるメンバーに届けることができ、
消費者体験の向上によってビジネス全体にも好影響を与える結果となりました。
それは「SNKRS」での限定アクセス権を受けたメンバーは、商品を勝ち取ったという
エネルギーに後押しされ、より多くの消費をすることがわかったのです。
つまり、一度特別な待遇を受けたことによるプレミアム感がユーザーの
背中をさらに押し、より熱狂的なファンを形成することが出来たのです。
その他にも、『ナイキメンバーズデイ』などの特典などはNIKEのメンバーであることに
価値を生み出し、その価値を継続的に高めていくことができる施策となっています。
まとめ
以前にも紹介したように、NIKEは高品質な商品はもちろん、
顧客と心理的な繋がりを大事にしていることが感じられます。
そしてその繋がりは実店舗や商品単体だけでなく、アプリなどの
デジタル領域において、その境目を無くすようなシームレスな体験が提供されています。
確かにこれまでの行動やデータから自分が選ばれると特別扱いされているように感じ、
今後もその企業の商品に注目してしまいます。
NIKEはカルチャーを重んじているブランドなので、ただデジタル化するのでなく
人の心の動きをよく理解した施策だなと思いました。さすがです。
今後もNIKEの施策に注目していきます。
参考
NIKE, INC. Q1FY22 EARNINGS CALL OFFICIAL TRANSCRIPT:https://s1.q4cdn.com/806093406/files/doc_financials/2022/q1/FY-2022-Q1-Earnings-Release-Conference-Call-OFFICIAL-Transcipt-FINAL.pdf