今回はドン・キホーテ創業者、PPIHグループ創業会長の安田隆夫さんの『運 ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」』
を紹介します。
本書ではドン・キホーテを経営していく中で何を重視し成長させてきたか、「運」という観点から説明いただいています。
本書は以下全8章からなりますが、その中でもいくつかの内容をピックアップして紹介します。
- 第一章:運という未開の大陸に分け入る
- 第二章:幸運の最大化と不運の最小化
- 第三章:運の三大条件—「攻め」と「挑戦」と「楽観主義」
- 第四章:何が運を落とすのか
- 第五章:最大のキーワードは「主語の転換」
- 第六章:「集団運」と言う弾み車
- 第七章:自燃・自走の「集団運組織」をどう作るか
- 第八章:圧勝の美学を語ろう
結論
本書にて筆者が受け取った重要な点(結論)は以下です。
- 個々人の運の量に大差はなく、その使い方で結果が大きく変わる
- 運の三大条件(攻め・挑戦・楽観主義)を徹底する
- 主語の転換をして考え行動する
- 集団運組織を作る
はじめに
PPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)とはドン・キホーテをメインとしてたくさんの事業を展開している会社です。
1997年から35期連続で増収増益記録を更新している会社です。
2024年6月期には売上高2兆951億円を達成しており国内小売業5社目の売上高2兆円を達成しています。
日本国内だけでなく、北米やアジアへも進出しており、グローバルな会社です。
個々人の運の量に大差はなく、その使い方で結果が大きく変わる
本書では運を以下のように捉えています。
- 運とは、自らの行動によって機能する”変数”のようなもの
- 運は掴むものでも支配するものでもない。自らが受け皿となり寄り添うべきもの
- 運をよくする行為や悪くする行為はサンプル数が多いほどよりはっきり見えてくる
上記のことを前提にして運を捉えています。
運を生かすも殺すも自分次第ということです。
運の三大条件(攻め・挑戦・楽観主義)を徹底する
何か行動を起こす(=攻める)人にこそチャンスが訪れることが多くなります。
そして、攻めた上でのリスクをとった人にこそ運が流れてくるものです。
さらにそれだけでなく、「楽観主義」こそ運の女神が微笑むと言います。
不況によって不安になるなど、悩む場面があっても、「長期的に考えるとそう悪くはならないのでは」、
と考えることができる人が運を掴めるのです。
確かにこれまで、コロナやバブル後の景気など、”最悪”になると言われていた場面が多々ありましたが、
現在も特に変わらずに働けて生活ができているのです。
主語の転換をして考え行動する
主語の転換とは、「相手の立場になって考え、行動する」という非常にシンプルなことです。
何か問題が発生した時、原因を解決する側ではなく、原因になっている側から発想してみるということになります。
本書の中で安田さんは「我欲と自我を消さないと人は寄ってこない」と記しています。
これは、自分の目線からのみでしか考えなければ成功しない、ということです。
自分が利益を多く得るために値段を釣り上げるなどの欲が出ると商売が上手くいかないということをおっしゃられています。
そのため、PPIHグループではそんな意図は一切排除し「顧客最優先主義」を企業原理に掲げているのです。
集団運組織を作る
運の中にも「個運」と「集団運」の2種類があるといいます。
個運とは個人が掴んできた運のことで、集団運とは、個運から転化した爆発的な上昇気流のようなものです。
例としてWBCの決勝での大谷翔平選手の個運が日本チームの集団運に転化し最高のパフォーマンスを発揮してくれたことが挙げられています。
ドン・キホーテでは、安田さんの個運が従業員を巻き込み、会社を大きく成長させました。
PPIHのこれまでの成長は安田さんの個運はもちろん、この集団運の強さだと言います。
また、現在の日本は未来へ楽観できず悲観する人が増えたことによって集団運が落ちていっています。
高度経済成長期には「明日はもっと良くなる」と働き続けていた人が多かったのですが、現在はメディアによる偏向報道や情報量の増加によって未来への不安を抱く人が多いのです。
そのように未来を疑った瞬間から運は崩れ落ちるのです。
未来に向かってチャレンジする楽観的な人が増えると今後の日本も集団運の弾み車を転がすことができます。
メンバー一人一人が組織愛を持つような組織づくりが成長する組織にとって非常に重要になります。
まとめ
ドン・キホーテが成功した理由を運という観点から安田さん本人が解説していただいています。
安田さんが運を引き寄せるために多大な努力をしたのは違いないです。
そのような人だからこそ、本書の内容に信憑性があります。
個人的にはドン・キホーテは他の店舗と違う逆張りの営業をしていると思っていました。
深夜営業や圧縮陳列など、当時の他のお店と比べると普通ではないと思っていたからです。
ですが、顧客の立場になったためにドン・キホーテの現在の営業が成り立っています。
実は顧客の立場にならずに営業をしていたその他のお店こそが逆張りだったのではと考えることができました。
PPIHのように、社内外問わず真正直に商売をすることで人からの信用を得て運を積み上げていく経営こそが本来あるべき姿であり、日本を成長させる会社なのだなと感じました。
ここで紹介しきれない安田さんの当時の苦悩や考え、PPIHグループの企業理念など、まだまだたくさんありますのでお手にとって読んでみてください。