【書評】プロセスエコノミー

あなたの物語が価値になる

今回は尾原和啓さんの著書『プロセスエコノミー』を紹介します。

プロセスエコノミーという言葉自体あまり聞き慣れないと思いますが、

多くの人が実生活で経験しています。

デビュー時から知っているアイドル、YouTubeやライブ配信など、

その人が歩んできた過程に価値が生まれるということです。

自分の好きなモノ、応援している人などを思い浮かべてみながら読んでください。

なぜそのモノ・人が好きなのかが言語化できると思います。

また、他人が好きなモノ・人についても理解できるはずです。

まとめ

  • アウトプットだけでなく、プロセスに価値がつく時代になっている。
  • 結果だけを早く追い求めるよりも目の前の人を大事にすることが重要であり、1番の近道となる。

プロセスを共有するだけではそこに価値は生まれない、という意味です。

以下で詳しく見ていきます。

プロセスエコノミーとは

プロセスエコノミーとは文字通り、その過程に経済圏が生まれる、価値が生まれるということです。

例を挙げると、昨年デビューした『NiziU』があれほど応援されるのは、

オーディションという過程を多くの人がテレビで目の当たりにしたことが要因として挙げられます。

若い女性がアイドルになるために厳しい審査を経験し、脱落する人もいる。

それを乗り越えてデビューしたことを視聴者は知っています。

もちろんキャッチーなダンス・音楽も欠かせませんが、

あの審査を乗り越えたメンバーだからこそ多くの人が応援しているのです。

同じアイドルであげると、ジャニーズJr.やAKBなども同じです。

華々しいデビューの前には下積み時代があり、ファンとの握手会などの交流の場を

設けることでよりファンが熱狂的になるのです。

そのプロセスをより知っている、感情移入すればするほど、この規模は大きくなるのです

正解主義から修正主義へ

プロセスを公表せず、完璧な状態のアウトプットを世に出すことが従来の常識でした。

YouTubeやSNSが発達しておらず、プロセスが目に見えにくかったことも原因です。

しかし、現在のようにSNSが発達し、便利なものに溢れた世界では

プロセスの段階で反応を見ながら変えていく修正主義こそ合っているのです。

簡単に商品を比較することができる環境においてどのような価値を生み出すかが重要になりました。

正解を出すことにこだわり過ぎず、試作品でもいいからとりあえず表に出して、

いろんな人からフィードバックを受けながら修正していくことこそ、

現代にあったスタイルなのです。

プロセスエコノミーの実践方法

Whyの価値

自分の成長過程を公表するだけでいいのか、と考えてはいけません。

ただひたすらに自分の過程を見せるのではなく、なぜ自分がそれをしているのかという

「Why」の部分を明確に伝えることが重要です。

「What」や「How」は一定のものさしで測られるものであり優劣が決められますが、

Whyはその人の生き方に拠るものです。

それを無視すると、オリジナリティはなくなり、他と同じようなモノになります。

単純な例で言うと値段だけが安い偽物の商品になりかねません。

すると価格競争にさらされるなどし、結果的に埋もれてしまいます。

プロセスエコノミーの弊害・注意点

プロセスエコノミーによる弊害、そして注意点も紹介しておきます。

まずは上記の「Why」に立ち返ること。

プロセスを応援してくれるだけで満足してしまい、本来の目標が薄れることがあります。

アウトプット以外でもお金を稼ぐことができるため満足してしま卯からです。

この場合は、周囲の期待に寄り添うのではなく、自分の決めた目標を常に思い出し、

なぜ自分はこれをしているのか、「Why」に立ち返る気持ちが重要になってきます。

転用

本書から取り組めることを紹介していきます。

  • まずは今すべきこと・できることを真剣にする

これに尽きます。

「プロセスでお金が稼げる」と言いましたが、誰もが簡単にできるわけではないと思います。

実力のない威勢だけの人を応援しようとは思わず、気にも止めないと思います。

まずは自分の実力や信頼、さらには「Why」の部分を強固にするために、

今自分の仕事、するべきことを全力でするのが重要です。

そうしたコツコツとして積み重ねによって本当の自分の気持ちが形成され、

そこに「応援したくなる人」が生まれると考えます。

こうしたことからプロセスエコノミーの好循環が生まれると思います。

まとめ

自分がしている理由を明確にし、その思いを一貫して持ち続け、

その姿に心打たれるファンが生まれることで好循環が生まれる。

本書を読んでいると表面上のメリットだけ追ってしまって、

誰でもSNSにあげていればできそう、と思ってしまいます。

しかし応援する立場になってみると、見ず知らずの人をいきなり応援することは滅多になく、

ほとんどスルーします。

そのため、転用のようにコツコツと周りの人の信頼や認知を得ることが重要であると考えました。

自分自身を取り巻く環境は常に現在進行形であり、今を大事にすることで

結果的に目標に近づき、多くの人に応援される人になるのだと感じました。

身近にプロセスエコノミーを感じることができる環境に恵まれています。

みんなが何となく気づいている現象を言語化できるのは本当にすごいと感じました。

SNSでも話題になっている本ですので興味のある方はぜひ一読ください。