資産

【書評】自分という資産を築く:無形資産が経済を支配する

ジョナサン・ハスケルとスティアン・ウェストレイクウェストレイクの著書『無形資産が経済を支配する』

この本ではこのような無形資産こそがこれからの経済を変えていくという内容が記されており、非常に面白いです。

今回はその中でも企業の分野よりかは自分自身の無形資産という面で内容をピックアップします。

一見難しそうなトピックに見えますが、意外と理解しやすい今回の内容です。

ぜひ最後まで読んでみてください。

無形資産とは

無形資産とは何かあまりピンとこないのでないでしょうか。

スターバックスに行く理由を考えると分かりやすいかもしれません。

スタバにしか売っていない商品があるのは間違い無いですが、ロゴや文字を見ると魅力を感じると思います。

オシャレな雰囲気や店員さんの対応など他のカフェと違うイメージを持ちますよね。

それがある意味スタバの無形資産です。

車や建物(有形資産)のように価値がはっきりとしているものではないが価値がある。

こんな理解でいいと思います。

無形資産の4S

無形資産は、有形資産とは異なるふるまいを示します。

その特性を一言でまとめると以下の「4S」となります。

無形資産の4S

  • スケーラビリティ
  • サンク性
  • スピルオーバー
  • シナジー

すなわちスケーラブル(適応度合いが高い)で、その費用は埋没(サンクコスト)していることが多く、

スピルオーバー(外部に漏れる)する傾向があり、お互いにシナジー(相乗効果)を持つということです。

以下で一つずつ特徴を説明します。

スケーラビリティ

なぜ無形資産はスケーラブルなのか

例えばスターバックスの店舗マニュアルを中国語で書けば、中国の1200店舗全てで使える。

アプリを一度開発すると多くの人にダウンロードされ分散できる。

一度作ったり、購入したりすると物理資産に比べて安い費用で使うことができるのです。

知識などは形がないが故に応用が効き、規模を獲得するのが早いのです。

サンク性

なせ無形資産はサンク性を持つのか

無形投資をして後で切り替えようとしてもそれまでに培った資産を手放す、無駄にするのが惜しく感じる

このような回収不能費用をサンクコスト(埋没費用)と呼びます。

無形資産は目に見えず、実際の価値が分からないため有形資産に比べこのサンクコストが大きいのです。

「ここまで頑張ったんだから今から他のことをすると今までの時間が無駄になってしまう」

という思考です。

土地や建物などの有形資産を売却することができても、

マニュアルやコツなどは他で使えないことがあるため価値がつきにくいのです。

スピルオーバー

なぜ無形資産はスピルオーバーを生むか

他人の無形投資を活用するのが比較的簡単であるからです。

特許などで守られていない限り、他人のアイデアをコピーするのは比較的容易になります。

iPhoneに似たスマートフォンが多いのはそのためで、

デザインという無形資産は真似がしやすいのです。

その他にも他の人がやっている習慣や取り組みなどは実態としての形を持たないため

誰でも簡単にマネができますよね。

シナジー

なぜ無形投資はシナジーを生み出すか

アイデアは他のアイデアと組み合わさることで威力を発揮するからです。

あらゆる技術は他の技術のピラミッド(積み重ね)の上に成り立っています。

そしてそのシナジーは予測できません。

アイデア×アイデアの答えは決して1つになるものではなく、

さらにはアイデアはいくつも掛け合わせることができるからです。

そしてアイデアを一度使っても消えてなくなることはありません。

これが無形資産の潜在的なシナジーを大きくする要因です。

例えば、UberやAirbnbのビジネスモデルにはインターネットを絶対的に必要とする部分はありません。

しかしインターネットとスマホの発明のおかげで多くの人が簡単にアクセスしすることができるようになったため

現在のように世界中に大きなネットワークを築くことに成功しています。

転用

上記の4Sの説明では企業の例が多かったのですが、これは一個人にも当てはまることです。

『無形資産=自己研鑽』と言えるのではないでしょうか。

一度知識が身につくと死ぬまで自分の中に存在し続け、さまざまなことに応用できます。

特に知識や思考方法、技術などは応用が効き自分の価値を上げてくれるものになります。

他の人がしている取り組みや勉強方法を真似することもできますし、

そのアイデアを自分の中の知識と組み合わせればシナジーが生まれます。

こういう意味で無形資産を築くことは非常に重要ですし、お金がかからず取り組みやすいです。

まとめ

無形資産の特徴と個人への転用という面で書きました。

価値あるスケーラブルな無形資産を持ち、外部からのスピルオーバーを獲得するのが上手い人は

とても生産性が高く利潤をあげるため、何も持っていない人は敵いません。

このように個人にも適応可能なのが無形資産のいいところだと思います。

それは多くの人にとっても効果を発揮するため、

中途半端な無形資産はすぐに追い抜かれるということも暗に示しています。

これを読んでくれている人の多くは、まだ半分以上の人生が残っていると思います。

まだ遅くありません。今からでも無形資産を築いていきましょう!