愛するということ

【書評】愛するということ

エーリッヒ・フロムの著書『愛するということ』

1965年に発売されてからいまだに世界中で読み継がれている世界的なベストセラーです。 

日本でも邦訳版が合計約50万部を発行した本です。

『愛するということ』は何なのか。

人を愛するには何が必要なのかを示してくれます。

いまだに読み継がれる名著をぜひ読んでください。

結論・ポイント

初めに本書のポイントをまとめてみます。

自分を愛することと他人を愛することは不可分の関係にある。
そして愛とは信念の行為であり、僅かな信念しか持っていない人は、
僅かしか愛せない。
人を愛するということは、何の保証もないのに行動を起こすことであり、
こちらが愛せばきっと相手の心にも愛が生まれるだろうという希望に
全身を委ねることである。

以下でこの意味を噛み砕いていきます。

人を愛する

そもそも対象と自分とは繋がっているため他者への愛と自己愛とを分割することはできない。

そして人を愛するためには、ある程度思い込み(ナルシシズム)から抜ける必要があり、

謙虚さと客観性と理性を育てなければなりません。

他人を客観的に見ることができなければ自分を客観的に見ることもできず、

愛の技術を身につけるにはあらゆる場面で客観的であるよう心がけが必要です。

どういう時に自分が客観的でないかについて敏感になり、他人とその行動について自分が抱いているイメージと、

こちらの関心や要求に関わりなく存在しているその他人のありのままの姿とを区別する必要があります。

客観性と理性を身につける。自分が関わりを持つ全ての人に対して
客観性と理性を働かせなければならない。

信じること

信念には『根拠のない信念』と『理にかなった信念』があります。

『根拠のない信念』とは道理にかなわない権威への服従に基づいた信仰のこと。

あの人が言っているから、みんなが言っているから賛成、はこれに当てはまります。

それに対して『理にかなった信念』とは、自分の思考や感情の経験に基づいた確信のことです。

何かをやみくもに信じるのではなく、確信を抱く時に生まれる確かさと手応えのこと。

この信念は自身の生産的な観察と思考にもとづいた、独立した確信に根ざしています。

他人を「信じる」ことはその人の核心部分や愛が信頼に値し、変化しないものだと確信することです。

同じ意味で私たちは自分を「信じる」ことが重要です。

自分の中に芯のようなものがあることを確信する、「私は私だ」という確信を支えているのはこの芯です。

この芯がないと、自分に確信が持てず、他人に褒められるかどうかに左右されることになってしまいます。

根拠のある理にかなった信念を持つことで
自分という確固とした芯を持つ

勇気

自分を「信じている」人だけが他人に対して誠実になれます。

自身に対する信念は他人に対して約束ができるための必須条件なのです。

そして信念を持つには勇気が必要です。

あえて危険を冒す能力であり、苦痛や失望をも受け入れる覚悟とも言えます。

そして愛する、愛されるにはその勇気が必要であります。

これが1番大事であると判断し、その価値に全てを賭ける勇気です。

人は意識の上では愛されないことを恐れていますが、本当は無意識の中で愛することを恐れているのです。

つまり勇気を持ち合わせておらず、その判断に全てを賭けることができていないのです。

この勇気を持つことで保証のない愛するという行動を起こすことができるのです。

愛するには信念に基づいた勇気が必要である

まとめ

この本から、

他者への愛と自己愛は不可分の関係であり、どちらかが欠けているならばその片方も欠けているはず。

ということを学びました。

相手と自分は繋がっているという意識、鏡のように本来の自分が相手を通じて分かるということです。

人は誰かと関わることで生きている。

フロイトは本書の中で『孤独こそが不安の源である。』と述べています。

これには深く共感できたし、自分の中の信念と共通する部分がありました。

自分を客観的に分析することで他人にもそれが可能になり、ありのままのその人を知り愛することができる。

自分・相手を知る(愛する)→勇気を持つ→信念を持つことが一連の流れと理解しました。

何より信念を持つことが1番ハードルが高く、ぶれにくい。

哲学者や学者の偉大さを再認識しました。

彼らは自分の信念を持ち、一直線にその仕組みを解明しようとします。

それには覚悟があり、人やモノに対する愛があるのだと感じました。

この本は1956年にNYで発売されてから65年経ちますが、現代の人々にこそ活かせる内容で本当に面白いです。

ぜひ読んでみてください